つまり、国民から真に敬遠されているのはパターナリズムであり、私的自由を妨げられることなのだが、パイが増えない先進国経済の中でそんな社会がいつまでも持続できないのは本当は左右ともに理解している。しかし、保守派は直近のリベラルの失敗からパターナリスティックな気配を出した途端に敗北することが分かっているので、当面は移民に責任転嫁して糊口をしのごうと試みている。

今は一見して保守勢力が伸張しているが、実際にはパターナリスティックな要求(多様性の尊重、人権の擁護、ハラスメントの防止など)がリベラル的な印象をまとっていることに付随する反動に過ぎず、これを内心苦々しく感じている保守派は少なくない。リベラルに反感を抱くようになった人が勤労奉仕をしたり予備役に従事したり子作りに励むわけではなく、むしろ体の良い理由を見つけて目的から遠のいているように見えるからだ。

BeRealのようなSNSが流行る背景は理解できる。インターネットが自由で解放された空間というのは懐古的印象であって、今の若者は虚飾と資本にまみれた現実の延長に過ぎないと考えている。それに対して、学校だろうと職場だろうとアプリの通知に従って正直に写真を撮るやつが逆にアツい、という新しい価値観は彼らを清々しい気持ちにさせてくれる。まあもちろん、そこでも生まれつき金持ちの有閑貴族が無双するのは変わらないのだが……。

「The New Look」という服飾のドラマを観始めたがさっそく面白い。シャネルとディオールの物語なのでさぞ華やかな話かと思いきや、舞台がナチス占領下のフランスなので一話目で十人くらい死んだ。乱の時代では服を作るのも命懸けなンだわ……。

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